読み放題、おすすめ本に翻弄される無職
本のない部屋は、魂のない肉体のようなものだ。
A room without books is like a body without a soul.
いきなり叱られましたよ。紀元前生まれのエラい人に。
はいっ!魂なくてスミマセン!肉体だけでゴメンナサイ!
読み放題サービスお試しに加入
1.アマゾンプライムリーディング
一年前、狭小ワンルームへの引っ越しを機に、本棚と本を処分しました。
確かに「仕事を辞めた → 本を処分した → 引っ越した」私は、その後魂が抜けたように寝てばかりで過ごしていました。ま、今でも昼寝満喫中です。
そんな「魂なし物体」の私ですが、この度、アマゾンプライムのお試しに申し込んでしまいました。
目的は、「プライムリーディング」といって、本やら漫画やら雑誌やら、月900冊くらいが読み放題となるもの。端末もパソコンとスマホと両方そのまま使っています(タブレットもOK)。キンドルアプリが無料というのも驚きました。
ただし、読める本などは指定のもののみですよ。
お試し期間を過ぎれば、月500円かかります。
2.楽しいお試し
いやあ、久しぶりのまとまった活字。いいね!
ヤフーニュースやブログなどで文字には満足していましたが、本ならではののめりこむ感じも懐かしい。無職の時間が足りないよ(DAZN、昼寝、風呂、やることいっぱい)。
本屋の楽しみ
1.新刊本の圧倒的キラキラ感
昭和生まれの私、本を手に入れる手段はもっぱら「本屋で手に取って」でした。つい最近までね。
本屋は楽しいのですよ。
田舎生まれの私は、もう大型書店へ行く段階で、イコール「都会の街」へいくわけで気分が高揚しまっくっております。
一歩足を踏み入れれば、天井まで届かんばかりの圧倒的な本棚が押し寄せてくる。しばし天を仰いでその重量感に身を任せる。
目を落とせば、平台に積まれたベストセラーの数々とかわいいポップ。
図書館もしんと落ち着いた空気と渋い魅力に満ち満ちでいるわけですが、やはり、ずらりと並ぶ新刊の迫力は圧倒的。
これでもかと「読んでほしい」光線を発しているのです。
ところがですね、常時金銭的に余裕がない私は、けなげにも「この新刊、文庫になるまで待とう(4年くらいかかるけど)」との決意を胸に、その場を去ることが多かった。なんかカワイソウ。
2.私を待つ文庫本コーナー
そして、なじみの文庫本コーナーへ。
「マッテタヨ」と秩序正しく並ぶ面々に、私は端から丁寧にごあいさつをしていくのです。
書店入り口の新刊本やハードカバーの面々は、大きさや装丁にそれぞれ趣向をこらしています。その結果、並んでいても統一感がなくバラバラ。強く個性を主張してくるその姿に、「もっと落ち着きなさいよ、あなたたち」とたしなめる私。
対するこの文庫本たちのつつましさよ。
背丈も背表紙もみんなおそろい、一直線の静かな横並び。
ああ、いとおしいではないか。
3.小さな呼びかけに耳を傾ける
おとなしく並ぶ面々と、私は順に本日の顔合わせを行っていくわけですが、驚くことに私に小さな声で語り掛ける者がいるのですよ。
その声は小さすぎてなんと言っているかはっきりしないのですが、私は声の持ち主と思しき文庫本を手に取るわけです。
おおっう!
アナタはこれを私に読ませたいのですね!分かりました、読みましょう!
そこには私にとって興味深いあれこれや惹かれる文体がずらりと並んで、微笑んでいたのです。
モッタイナイ!
お金を払う前の立ち読みはその時点で終了。お楽しみはこの後だ。
4.好きな読書のシチュエーションは
そうやって、本屋を堪能し(雑誌やら専門書やらかわいい文具やら、本屋は見るものが多すぎ!)出会いのあった数冊の会計を済ませました。袋に数冊入っていることが重要。お楽しみは一つじゃ終わらないのだ!
一番好きな読書のシチュエーションは
「休日前の夜、都会、落ち着いた喫茶店・カフェ・ファミレス、周りは一人客」。
時間は無限にある(気分)、おいしい飲み物と甘いもの、都会のなかの誰でもない自分(田舎だと何してても名前がわかる、夜遊びなんてえらいことだよ)、自分のためだけに使う時間。
これらが読書の楽しさを倍増させるのでした。
家だと横になって読んだりして、夜だしすぐに寝入ってしまうことになりやすいですしね。
いろいろなサービスに翻弄される
1.使い勝手の良さに驚いた
読み放題ということで、何冊かダウンロードし読み進めています。
どこまで読んだか、何パーセント読んだか等、表示されてすごく便利です。
アンダーラインやメモが書き込めたり、付箋を付けることもできますよ。
2.おすすめ本に翻弄される
それがですね、本がおもしろければおもしろいほど困ったことが起こるのです。
そう!おすすめ本が気になってしょうがない!
- 同じ著者の本
- 類似タイトルのおすすめ
- 最近読んだ本に基づくおすすめ
- 購入履歴からのおすすめ
- ランキング上位の本
などなど。
こちらの興味・関心を研究しつくした「おススメ本」をこれでもかというくらい並べてあるわけです。恐るべしAI(だと思う)!
本屋に並ぶ文庫本のみなさんは、非常に主張が控えめ。年をとった私は難聴が進んだのか、最近は私に呼びかける声が聞き取りづらくなり、本を買わずに済んでいました。
ところがですね、こちらのおすすめ本のみなさんは、大きくてよく通る声をお持ちなのです。加えて厳選された面々が恐ろしい説得力をもって、高齢者をウンウンとうなずかせるのでした。オソロシヤ~。
3.その他のサービスに翻弄される
そうして私は今、2つの危険に直面しています。
1)本を購入してしまいそう
実は、すでに購入してしまったのです。文庫本。
もう!私、節操なさすぎ!
限られた本の中で楽しもうと思うけれど、どうしてもアンリミテッドのリストにない本を読みたくなってしまうのです。
そして購入のハードルを下げる、アマゾンプライムの「お急ぎ便」「配送料無料」サービスの魅力!
すごいよこれ。めちゃくちゃ「お急ぎ」いただいたよ。午後2時に注文して、次の日の朝9時に手に入りました。このサービス、配送料無料でいいのか。
こちらの「待ったなしの読みたい!」を楽々と叶えるアマゾンの優秀さよ。これが本の到着に日数がかかるとなれば、そのうちうまい具合に熱が冷めるはずなのです。
そうはさせじ!いいトコ突いてる!
今回、無料アマゾンアプリをダウンロードして何やら特典として付いてきたポイントで360円支払いました。許して。
今後、このようなゆるいことにならないよう心したいと思います(自信はない)。
2)キンドルアンリミテッドが気になってしょうがない
同じくアマゾンのサービスで、こちらはなんと200万冊以上が読み放題。月980円也。
200万冊ですよ!
だめです。だめですよ、私!しっかりしなさいよ!
(でも、無職だから読めるってのもあるし・・・)
だめです。900冊読みなさい。
読書は楽しい。確かに楽しい。
しかし、あなたにおいては、眠ることで現実から距離を置いていたその方法が、今は読書に置き換わっているだけではないのかね。
現実の問題は、置き去りのままなのだよ。
(怖い。真の問題を私に突きつけないで・・・。)