ながされて無職

無職になった50代女性一人暮らし。ずっと働かないわけじゃない。

無職2年目の私、住民税が非課税になるのはいつ?

よく、芸能人が「稼ぎが多かった次の年に、税金が高くて払えず借金をしました」なんて言っている記事を目にしますよね。

私はそれを見て、「いやあ、次の年に税金引かれるのって分かってたことだよねえ。それなら税金分をあらかじめよけておけばいいのにー。」と思っていました。(←A)

さらに「ワタシラ会社員は(私すぐ辞めがちだけど)、給料もらうときに今月働いた分の税金はすでに引かれてるもんねえ。」とも。(←B)

 

さてここで問題です。

私の発言A、Bは果たして正しいでしょうか?間違っているでしょうか?

 

その答えは・・・。

ドゥルルルルル・・・、シャキーン!

「Aは正解!」

「Bは半分正解、半分間違い!!」  でした!!(なんだそりゃ)

 

発言Bのどこが間違いなのでしょうか。

まず、もらった給料は税金が引かれた後のものであるのは正しい。

しかし、その引かれた税金とは「今月働いた分」に関しては所得税国税)のみであって、「今月働いた分」の住民税(地方税)についてははまだ引かれていなかったのです!(言い方がややこしくてスミマセン)

そして、「今月働いた分」の地方税の請求がくるのは、ずーっと後になるのです。

無職で収入が無くても、「前に働いた分」の税金の請求が来るんですよ。

ひゃー、怖いでしょ。

 

私は現在無職2年目、そして、無職の間、収入ゼロ。

それなのに、まだ住民税は非課税でない状態です。

 

仕事を辞めた一昨年、収入ゼロの昨年一年、そして今年に入ってなお、無職に関わらず税金(及び国民健康保険国民年金保険)の納入は、ながながと私の懐を苦しめるのでした。

そんな私に言いたい。

「いやあ、次の年に税金引かれるのって分かってたことだよねえ。それなら税金分をあらかじめよけておけばいいのに。」(←発言A)

へへへ、それ分かってなかったの。

と、いいますか、「会社員を辞めるとその後の税金と社会保険料を納めるのがタイヘン」といううわさはネットで知っていましたが、「どれくらい」「いつまで」タイヘンなのか、全く考えずに辞めてしまったのです。

無職になり身に降りかかってきてから、心底驚いたんだよー、ホントに。

 

ということで、本日は「住民税」について私の場合の話です。

さらに「いつから住民税は安くなるの?」ということも考えます。

 

自分の給料から引かれる税金をチェックしておこう

そもそも、会社員の時から私は、自分の給料から何を支払っているか全く気に留めていなかったんですよ。見るのは「総支給額」と「残業時間」くらい。「いやあ、今月忙しかったもんね、ちょっと色ついてるよ。でもへとへと。やっぱりもう辞めたい」などとね(笑)。

 

給与明細には、次のような欄があります。税金に関する欄は以下の2つです。

所得税(明細書には「源泉徴収税」と書かれていることが多い) …

 ・「国に納める税(国税)」です。個人の給与所得にかかる税金です。

 ・先払い(先に引いてから給与は支給される)。

②住民税 …

 ・「地方自治体に収める税(地方税)」です。都道府県民税と市町村民税(東京23区は特別区民税)の合算額が書かれています。

 ・後払い(ずっと前に働いた分の税金を今引いている)。

なぜ、「所得税」と「住民税」は納入のしかたが違うのか。

それは、同じ給与から引かれる税金であっても、納めている場所が「国」・「地方自治体」というふうに違うので、法律も異なり納付システムも違うわけですね。(そんなん、普通知らんよねえ。)

 

住民税の特徴

1.住民税納付、いつの分をいつ納める?

1)納めるのはずいぶん後!

1月~12月分を、次年の6月~その翌年の5月に納付します。

  例;2019年1月~12月分を、2020年6月~2021年5月に納める

一年半くらいもずれているのですよ!!驚きだよ。

2)社会人2年め、3年めに手取り額が減るのはこのずれのため

社会人1年めには前年は学生など所得がないので(バイトがっちりの人は引かれる)住民税はなし。

社会人2年めに引かれる住民税は、前年4~12月までの所得(9か月分)をもとに計算され給与から引かれるのでまずびっくり。

さらに社会人3年めは前年の1~12月分(12か月分)の所得に対して課税されるようになり、さらに税額が高くなります。

手取り額が減ったとしても「俺の仕事が評価されていない!」わけではないので、3年めのアナタ、びっくりしないでね。

 

新社会人の場合だけでなく、無職が長くて再就職した場合も同じ。急に手取り額が減ることがあると、これかもしれません。(私も経験あるよ、ふふ)。

2.納め方

  • 会社員等 …12当分して毎月の給料から天引き。「特別徴収」といいます(会社でやってもらえるなんて特別扱いだよ)。
  • 自営業(無職なりたても) …原則年4回(6月、8月、10月、翌1月)自治体から送られた納付書で。全額一括納付も可。「普通徴収」といって自分で払います(自分で納めるのが普通と心せよ)。
  • 公的年金をもらっている人 …原則年6回の公的年金支給時ごとに差し引かれます。

3.無職になった私のケース

1)無職の私の、住民税納付年表

以下の年表部分はメンドクサイよ。それほどややこしいシステムということかな。(興味のある方はどうぞ)

2019年10月末:会社を退職、無職・無収入に。

2020年2月:①納付書届き、納める …「平成31年度(2019年)2月随時」の納付書にて。

      *2019年度(退職後の11月~翌年5月)に収めるべき税金が一括で請求された(と思う)。

      *2018年1月~12月の所得で計算されている(その1年は真面目に会社員をやっていたため多額)。 

2020年5月:②納付書届き、納める …「平成2年度(2020年)全期」の納付書にて。

      *2020年度(6月~2021年5月)に収めるべき税金。一括で支払いました。

      *2019年1月~12月の所得で計算されている(11月に最後の給与所得あり、ほぼ一年働いていたので多額)。 

2021年2月現在:無職・無収入継続。

 

このように、私の場合、2020年2月と5月に納付。1年半分くらいの社会人時代の住民税を、無収入の4か月の間に一気に納めるという暴挙に出てしまった。

その額、合わせて数十万。うっっっ。

もちろん、分けて納めることもできたのです。しかし、「何度も納付書を見て苦しみもだえるのはイヤーーー!」という理由により、金額を見ないようにして一気に納付したのでした。

 2)なぜ、会社を辞めたばかりの無職の税金納付はつらいのか

つらい理由は3つです。

(1)無収入だから …私に理由があるけれどね。ふふん。

あらかじめ来るべき納付に備え「取り分けてあります。余裕」の人、もしくは「資金潤沢、そのくらい羽で撫でられたくらいのものです」の人は、私の悲しみなど理解する必要はありません。

(2)まとめて納めなくてはならない …会社員が1年を12等分なのに対し、納付書では分割しても4回。最低3か月分は納めることに。納付総額は同じことなのですが、厳しく感じるのでした。

(3)納税を意識させられる …会社員のときは給与からの天引きのため、「知らないうちに勝手に引かれている」(人聞き悪いよ)。それに対し、会社を辞めた後は、思いっきり意識して納めることになりました。納めるべきものは同じなのに、なぜか「思いがけない出費(理不尽)」と感じてしまうつらさよ。

 

そして、無職2年目の2月現在、まだ私の住民税は(形のうえでは)安くなっていないわけです。

 

完全な無職は、いつから住民税非課税になるのか

1.私のケースは

2021年6月:住民税非課税世帯になる(はず)

      *2020年1月~12月の所得ゼロのため

もし、来月再就職し会社などで働いたとしても(仮定なのが悲しい)、来年の5月までは、住民税の給与からの天引きはありません。

2.完全な無職が、住民税非課税になるのは

無職になって所得もほぼないのであれば、

「住民税の非課税は、完全に無職の一年を過ごした、次の年の6月から」

ということになります。

ただし、後述しますが、前の年少し働いて辞めた場合、他の所得があるが少しの場合なども、その所得金額により次の年の6月非課税になりますよ。

3.住民税非課税世帯に通知はあるのか

通知はないと思われます(ざっと見たところ通知している自治体はみつかりませんでした)。

「住民税非課税(課税)証明書」が必要な場合(様々な免除申請などで)は、自治体に申請し発行してもらう必要があります。

 

住民税非課税、働ける最低限は?

さて、私はこうして一年以上も無職をむさぼっているわけですが、ずっと働かなくてよいわけでは決してないのです。ええ、決してね。

それは、生活のために切り崩している預金が、この調子だとすぐに底をついてしまうから。タスケテ。

 

資金潤沢なアーリーリタイア(最近は「FIRE」族=Financial Independence, Retire Early経済的に独立した早期リタイア=というらしい)の人とは、置かれた状況がまーるで違うのですよ(といましめたい)。

私の場合は、このいかんともしがたい仕事イヤイヤ病をなだめつつ生活する道を模索しなくてはなりません。その一つの道として、「ちょっとだけ働く(資金の減りを少しでも遅く)」や「生活が成り立つくらい働く」などが考えられます。

 

ということで、住民税非課税内でどのくらい働けるかについて考えてみたいと思います。(いやいや、課税されてもちゃんと働いた方がいいよ。老後の蓄えないでしょうがアナタ。)

1.住民税の仕組み

 1)住民税は「所得割」「均等割」の2つの合算

住民税は、「所得割(額)」と「均等割(額)」という2つを合算したものです。

 

「住民税(都道府県民税・市町村民税)」=「所得割」+「均等割」

 

所得割 …前年の所得に応じて計算する。所得の多い人はたくさん納める。

均等割 …同じ自治体に住む納税者が、同じ額を納める。

2)税率

以下が「標準の税率」です。(均等割は年額)

  都道府県民税 市町村民税 合計
所得割 4% 6% 10%
均等割 1,500円 3,500円 5,000円

「指定都市」の所得割は、都道府県民税が2%、市町村民税が8%と異なりますが、合算すれば同じ10%です。

参考:総務省 個人住民税の概要

3)自治体による違い

上記の表はあくまでも標準なので、 自治体によって例外があります。

ちょっとお高め「神奈川県横浜市」を例に挙げます。

<神奈川県横浜市>(均等割は年額)

  県民税 市民税 合計
所得割 2.025% 8% 10.025%
均等割 1,800円 4,400円 6,200円

参考:個人の市民税・県民税について 横浜市

 これは横浜市で「横浜みどり税」、神奈川県で「水源環境保全税」を上乗せしているからとのこと。例えばみどり税で樹林地を買い取って手入れしたり、小学校の校庭の芝生化を進めたりする様子が報告書に載っていました。

4)計算はややこしいよ

ただし、給与所得から実際に住民税を計算するとなると、「所得控除額」やら
課税標準額」やら「税額控除」やらいろいろ出てきて私はお手上げでした(中学1年で数学からは落ちこぼれましたので)。

2.住民税非課税世帯とは

法改正により、令和3年度(2021年)分から変わった点があります。

以下、令和3年度分「令和2年1月1日から令和2年12月31日の間に得た収入」の個人住民税から適用される改正点を含めた説明です。

 

住民税非課税世帯には、2つのケースがあります。

1)所得割が非課税になるケース(   下線が改正点です)

前の年の総所得金額等が、次の項目の金額以下の場合

 ①控除対象配偶者や扶養親族がある場合

    …35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+32万円+10万円

 ②控除対象配偶者や扶養親族がいない場合

    …35万円+10万円=45万円


2)所得割と均等割が非課税になるケース

 (1)その年の1月1日現在、生活保護法による生活扶助を受けている場合
 (2)障がい者、未成年者、寡婦(夫)で、前年中の合計所得金額が125万円以下の場合(給与収入では204万4,000円未満の場合)
 (3)前の年の総所得金額等が次の項目の金額以下の場合
  ①控除対象配偶者や扶養親族がある場合
    …35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円+10万円
  ②控除対象配偶者や扶養親族がいない場合
    …35万円+10万円=45万円

 

<注意!>

・均等割は、住んでいる地域の生活保護の級地区分によって、非課税となる基準が異なります。自分の自治体のホームページで確認してね。上記は生活保護の級地区分が1級地(東京23区など)の場合です。

 

均等割が非課税になる方が、条件は厳しめです(私のような配偶者や扶養親族がいない場合は変わりません)。 

私は、今年の6月に、「2)所得割と均等割が非課税になるケースの(3)ー②控除対象配偶者や扶養家族がいない場合の、前年所得45万以下」の住民税非課税世帯に該当するようになると思われます。

3.アルバイトで働くなら

あのですね、私はですね、ずっと住民税非課税世帯でいるつもりは全くないのですよ。というか、そうしていられないのですよ(金銭的理由でね!)。

では、どのくらい働くと税金がかかってくるのでしょうか。

配偶者なしの独り身の場合です。 

1)住民税がかからない最低限は、給与所得100万円 

住民税には、「非課税制度」があり、その限度額は45万円。

給与の年収が、「給与所得控除額(最低55万)」と「非課税限度額(45万円)」を合計した金額(100万円)以下の場合、住民税は課税されません。

(給与所得控除額)55万円+(非課税限度額)45万円=100万円

2)所得税がかからない最低限は、給与所得103万円

ちなみに所得税はどうでしょうか。

給与の年収から「給与所得控除額」を差し引いた残額が「基礎控除額(48万円)」以下の場合、所得税はかかりません。
つまり、所得税における給与所得者の「課税最低限」は、次のようになります。

(給与所得控除額)55万円+(基礎控除額)48万円=(課税最低限)103万円

3)ややこしい用語の説明(上で出てきて分かりにくかった用語です)
  • 年収 …給与明細書の所得税・住民税・社会保険料などが天引きされる前の額
  • 給与所得控除 …自営業の必要経費にあたるもの。給与所得額によって細かく変わります。年収から計算。 →4)の表
  • 基礎控除 …誰もが総所得金額などから差し引くことができる控除です。総所得 2400万円以下なら、みな同じ。 →5)の表
4)令和3年度(令和2年1月1日から令和2年12月31日の間に得た給与収入)、改正がありました

参考:国税庁 昨年から変わった点

<給与所得控除> 
給与等の収入金額(源泉徴収票の支払額) 給与所得控除額
162.5万円まで 55万円    (改正前65万)
180万円まで 収入金額×40%-10万円
360万円まで 収入金額×30%+8万円
660万円まで 収入金額×20%+44万円
850万円まで 収入金額×10%+110万円
それ以上 150万円(上限)

参考:国税庁 昨年から変わった点  1 給与所得控除に関する改定

基礎控除額>
合計所得金額 基礎控除
  改正後 改正前
2,400万円以下 48万円 38万円
2,450万円以下 32万円 (所得制限なし)
2,499万円以下 16万円

 参考:国税庁 昨年から変わった点 2基礎控除及び所得金額調整控除に関する改正

改正はあったのですが、「住民税非課税」「所得税非課税」の最低ラインは結局同じになりました。「給与控除額」が10万円下がり「基礎控除額」が10万円上がったので。

 

 

 

ということで、これら税金のことは私にとっては「知っときゃ良かったよー。そうすりゃもうちょっと計画的に(は無理でも)、覚悟を決めて辞められたかもねー。」という内容でした。

一方、ここらへんはあまり意識することなくとも、会社員として一つ所で立派に勤め上げる方も多いわけで。

どちらが安寧・堅実、かつ国と地域に貢献する人生かといえば、それはもちろん・・・。

ああ、我が浅慮雑ぱくな人生よ。

知ることも大切かもしれませんが、行動の尊さを身に染みて思う、無職2年目、向春の朝なのでした。