ながされて無職

無職になった50代女性一人暮らし。ずっと働かないわけじゃない。

無職の出費、見栄の塊の「黒毛和牛」

「山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し」

今、私は打ちのめされています。

 

10590円。

無職、預金切り崩し生活において(一か月8万5千円予算、もっと減らしたい)、あまりにも多額な【特別費(予算外の出費)】。

 

それは己の「心中の賊」、すなわち「見栄」によるものであった。そう、私見栄っ張りなの。

ああ、神よ、愚かなる我を救いたまえ・・・。

(愚かさからも、迫りくる資産ゼロの恐怖からも、仕事イヤイヤ病からも、一切合切から救って欲しい・・・ほんとに)

 

浮世の義理にいまだ縛られる無職

1.連絡は突然に

突然、昔の同僚から連絡があった。

「〇〇さん、△△に昇進するんだって!すっごいよねー!」

ああ!〇〇さん!なつかしい!

昔の会社でもんのすごーくお世話になったのだ。さんざん迷惑かけたね。その名を思えば、自動的に言葉では言い尽くせないほどの感謝の気持ちが沸き起こるよ。

連絡をくれた元同僚は、ともに面倒をかけまくった類友というべき存在(ことわざどおり類は友を呼んだ)。いやあ、あのときはお互いひどかったねえ。周りの辛抱強さに敬服。

 

さて、電話は「昇進祝い」の話になった。

同僚「私は今、小物なんかを探してるんだよね。」私「へー、相場っていくらくらいかな。」「個人だと1~3万円って書いてあったけど。」「・・・ふ、ふーん・・・なるほどね」

ぎりぎりまで「二人で一緒に贈らない?」と言おうとしたが、そんな雰囲気でもなく(なぜなのだ!)、電話は終わった。

2.予算に苦悩

パソコンをそっと立ち上げ、「昇進祝い」を検索。

ちょっとー!個人なら「3千円~1万」って書いてあるサイトもあるじゃん!アイツめ!

しかし、あの口ぶりだとアイツの予算3万だな。

そう、当時ダメ部下として名を馳せたアイツは、今や「仕事のできる女」へとグレードアップしてばりばり働いているのだ。

片やこちらは転職を繰り返し、流れ流され、今や無職も2年目。うまい棒1本買うにも(大好き!)頭を悩ませる家計事情にあるのだ(サラダ味にするか、たこやき味にするか)。

お祝い、どうしよう・・・。

3.見栄発動

3千円だとどんなのあるかな。

定番は花?それほんと?私はいらん。

クッキー詰め合わせか。お子さんいたしいいかもな。いや、〇〇さん甘い物あんまり好きじゃなかったよ。

酒はどうか。さすがに二級酒ってわけにも。うっわ、有名どころだと結構するねえ。それに値段がすぐばれるよね。

 

私には知り合いがいない。友人もいない。退職すれば連絡をとることもない。

つまり、私が無職でいようが誰も知るものはいないのだ。もちろん、今回連絡をくれた同僚も〇〇さんも私が無職ということは知らないのです。

 

そこで私の見栄がいきなり発動したのです。

今もちゃんとやっていると思われたい!とね。「普通」に会社員として、「普通」に給料をもらって仕事続けて・・・。

元同僚からも聞かれなかったし(「アンタ仕事辞めてない?」とは聞かない)、うそはついてないもん!

せめてひどく見劣りすることのないくらいにしたいな・・・。

4.肉、1万円

ターゲットを肉にしぼる。なぜなら値段が分かりにくいから。始めは5千円からスタート。

なるほど、やっぱピンキリだな。

うーん、切り落としは安そうに見えるのね、やめた。これいいけど、もっと「普段食べない高級肉感」をプラスしたいものだ、お祝いだもの。これ、おいしそうだけど少な!とても家族で食べられないよ、やっぱ予算アップか。

 

結局、選んだのは「黒毛和牛A4~A5ランク、霜降りスライス」というもの。A5と言い切っていないところに哀愁を感じるよ。

のし、メッセージカードの手配をして、ポチ。

そのお値段、10590円。

ちなみに一か月の食費予算は12000円。ああ。

貧しさから目を背けて

1.心の貧しい私

ちまちま金額を上げ下げして選んだ私ですが、そもそもはこれ「お世話になった方へのお祝い」なのですよ。

あんなときこんなとき、あれほど見返りなど求めず世話してくれた〇〇さん。

感謝とお祝いの気持ちを形にしたい、伝えたいのは本当です。よくぞあのときあれほど辛抱強く教えて下さいました。今回の昇進おめでとうございます。あなたにつく部下は幸せです。ますます周囲にとって大きな力となるでしょう。

 

私の送る品が3千円だろうと一万円だろうと〇〇さんはきっと変わらない。「ほほう、なつかしいねえ」と目を細めてくれるはずなのだ。もしかしたら電話で感謝を伝えるのでもよかったかもしれない(必ず無職がバレるけど、それでも良かった気も)。

 

ところが、己の見栄と懐を天秤にかけ、千円単位で上げ下げして悩む私。どこかへ行ってしまった感謝と祝う心。

 

ああ、自分は貧しい。貧しすぎる、この心の賊よ!

2.財布も厳しい

遠い空の下から、〇〇さんを心からお祝いします。

 

というわけで、今月の【特別費】の出費が、また新たに計上されました。

さて、これからどうやってやりくりしよう。

(働けばいいのに・・・)

 

最近思うのは、「心の貧しさとお金の無さは、相性があんまりよくないね」ということ。お金の無さに心の貧しさを突きつけられることが多いよ。はああ・・・。

やっぱり、私のような器の小さい者は、日銭を稼いで心の安定を得るべきなのだ。

(早く働けばいいのに・・・)

 

人とのお付き合い、次こそは誠実に

私は、知り合いがいません。それは自分で切っちゃうようなところがあるからです。これも仕事をすぐに切ってしまう問題と根はつながっていると思われ、悩んでいます。

今回のように、細々とつながっていた関係さえも、見栄で覆ってしまい表面的なつながりにしてしまう私。

 

次に仕事を含めて人と接するときは、誠実な自分でありたいと本当は思っているのでした。(できる自信がないの。ああ、神よ・・・)